若返りと老化抑制の原理
ここまでの内容をまとめますと、フリーラジカルを少なくすれば、老化を防ぎ、若返りは可能ということです。そこで、様々な、抗酸化栄養素の働きが、喧伝されているのですが、フリーラジカルを抑制するためには、小食にして、血糖値を安定させるという事が最大要因です。もし、精製炭水化物(砂糖だけでなく、ご飯や白いパンなども含めて)を多くとり、過食している状態なら、どんな抗酸化物質を摂取しても、「油を撒きながら、消火活動をしているようなもの」という事ができます。また、腸の中をきれいな状態にして、善玉菌優勢の状態に持ってゆき、腸壁を修復させる事も重要です。
そのために、もっとも有効な方法は、実は断食です。動物を使った実験でも、定期的に断食をさせれば、毛並みもよくなり、機敏になり、寿命も延びることが分かっています。
断食すれば、体内のフリーラジカルは、激減します。血糖の上昇もなければ、グリケーションも起こりません。腸内細菌は、いったん死滅し、消化にエネルギーを使う必要ななくなった分、消化管の修復を行う事ができます。
断食をするときに、それまでの好ましくない習慣、砂糖の摂取、タバコ、アルコール、カフェインなどもやめてしまうチャンスです。こういうものへの中毒では、脳内神経伝達物質のレセプターにダウンレギュレーションが起きるので、中毒性になるのです。それを改善する方法は、原因物質をとらないということそのものなのです。ダウンレギュレーションの状態が、正常に回復すれば、それらの原因物質をとらなくとも、幸福でいられます。
断食をすると、感覚が鋭敏になります。そこで、中毒状態からいったん抜け出すと、断食明けには、砂糖やタバコ、アルコールなどが非常にどぎつく、有害だという事に気づきます。それも頭で理解したというのではなく、経験的に理解する事ができるのです。そのため、断食をきっかけにして、好ましくない生活習慣をきっぱり断ち切ったという人が大勢います。
断食後には、本当の食べ物のおいしさが分かるようになります。よい素材で作られた食事をすると、満腹感によってではなく、血糖値の上昇によってでもなく、満足感によって、食べ終えるようになります。身体によいものを選び、自然に腹八分に治まる傾向があります。
しかし、完全断食には、リスクもあり、飢餓感が強く、誰でも実行できるというものでもありません。そこで、栄養補給をしながらの酵素断食が注目されるのです。
注目される酵素断食
食事の代わりに、酵素飲料を飲んで行ういわゆる酵素断食の場合には、脳神経系が必要とする程度の炭水化物によるカロリーと、その代謝に必要なビタミン、ミネラル、そのほかの栄養素が補給されるため、飢餓感や苦痛なく、断食と同様のメリットを得ることができます。
しかも、それ自体が、原料の野菜、果物、薬草などに由来するファイトケミカル、さらには酵母菌が産生する醗酵生成物などの働きによって、フリーラジカルを抑制する働きもするようです。
また、説明はつかないのですが、酵素飲料を継続して飲むと、身体によいものを取り入れたくなる一方で、身体に悪いものは、遠ざけたくなる傾向が見られます。断食そのものによっても、感覚が鋭敏になるのと、相乗的に働く結果、酵素断食が生活習慣を大きく変えるきっかけになったという事がよく見られます。
酵素断食をきっかけに、砂糖、タバコ、アルコール、カフェインなどを絶って、玄米、全粒粉パン、オートミールのお粥など未精製穀物と野菜を中心にした食事を心がけていると、そういった素材そのものの持つ、滋味を味わう事ができるようになります。
人間は脳内快楽物質に司られていますから、我慢というのは続きません。我慢するのではなく、実際に健康的な食事が美味しく感じられるようになる事で継続が可能になるのです。
抗老化遺伝子の研究
近年、遺伝子レベルでの老化現象の研究が急速に進んでいます。その中で、長寿遺伝子とも言われるsir2やsirt1、若返り遺伝子といわれるウェルナー遺伝子、逆に老化を促進する遺伝子も見つかっています。それらの中で、sir2やsirt1は、カロリー制限、具体的に言えば、成人男性で1日1,800Kcal程度に抑えるとスイッチがONになるといわれています。同じ遺伝子を持つ動物実験では、皮膚や毛並みが若返り、大幅な寿命の延長(例えばラットで1.4倍)が見られたといいます。また、九州大学の研究では、マウスに2週間ごとに4日間断食をさせたら、寿命が2〜3倍に伸びたといいます。
sir2やsirt1の働きについて、さらに研究すると、どうやら絶対的なカロリー量というよりもインスリンの分泌量に反応するらしいという事も分かってきました。つまり、絶対的なカロリーに加え、インスリンの分泌をできるだけ刺激しない食事が、これらの遺伝子を活性化するというのです。
しかし、カロリーを制限するといっても、単純に量を減らしただけでは、必要な栄養素の不足を招く可能性もあります。そうなると、エンプティカロリーをなくし、未精製の食品を中心に食事を組み立てる必要があるでしょう。しかも、未精製の食品というのは、GI(グリセミック・インデックス)も低く抑えられるので、インスリンの分泌をあまり刺激しません。
これらの事を総合すると、定期的に断食をし、未精製の食品を中心に、低カロリーの食事をし、抗酸化栄養素を多く摂取し、ストレスをできるだけなくし、生きがいややりがいを持って生活する事により、老化を抑制し、あるいは若返りは可能という事になります。果たして、それは可能でしょうか?
論より証拠です。まさしくそれを実行した結果の顕著な事例がここにあります。また、平素の食事法については、「癒しの食卓・スリムアップも若返りも食しだい」をご覧ください。
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